北海道みらい法律事務所
  • HOME
  • PROFILE
  • CONTACT
  • MAP

増川 拓弁護士のコラム

【新型コロナ問題に関する、SNS等による誹謗中傷問題について】R2.4.26

道内や室蘭近郊でも陽性の方が出て、この問題が深刻になってきました。なぜこれがいけないのか、法的な視点からお話しさせていただきます。

1 違法行為になるのは?(主なものだけ列挙します)
①その人の社会的信用(名誉)を低下させるもの→名誉毀損罪・侮辱罪・民法上の不法行為(損害賠償)

②その人のプライバシー(個人情報を含め人に知られたくない秘密)を侵害するもの→民法上の不法行為(損害賠償)

③その人や勤務先、取引先の仕事に支障を来すもの(仕事や営業妨害になるもの)→業務妨害罪・民法上の不法行為(損害賠償)

④その人や親族の生命・身体・自由・名誉・財産を傷つけることを告知するもの→脅迫罪・民法上の不法行為(損害賠償)

2 どんなペナルティがある?
犯罪行為であれば、懲役刑罰金刑(捜査段階で逮捕の可能性も)。
民法上の不法行為では損害賠償責任が発生する。

3 本当のことを伝えているんだからいいんじゃないの?
NO。
誤解されている方が多いですが、対象が政治家など公的な地位にある場合を除き、「真実だから」という理由だけで違法性が否定されることはありません。
(なお、政治家に対する批判は民主主義(選挙)の参考資料として重要になるため、広く許されています)
ましてや、嘘の内容を含んだ誹謗中傷は特に悪質性が高く、ペナルティも重くなると考えていいと思います。

4 行為者の実名を出していなければ大丈夫?
NO。
これも誤解されている方が多いですが、投稿の内容から行為者が誰か特定可能であれば、立派な違法行為です。

5 自分の名前は匿名で投稿しているからバレないよね?
NO。
警察や裁判所の手続を活用すれば、調査は可能です。つまり、弁護士や警察が本気を出したら、責任追及は可能と言うことです。

6 行為者が軽率なことしたんだから、懲らしめないと感染が広がるんじゃない?
全くの逆効果と考えます。
この魔女狩りのような風潮が広がった結果、陽性の方が自分の行動について口を閉ざすようになりました。感染経路不明が増えているのはそのせいではないかと思います。
その結果、濃厚接触者が特定できなくなり、ただでさえ遅れている隔離や検査がさらに後手に回っています。感染拡大防止への悪影響という意味でも、誹謗中傷行為の悪質性は反社会行為と言ってもいいくらい、ひどいものだと考えます。

また、そもそも社会的制裁を加えるのは公的機関の役割です。私的なリンチが「正義」っぽい理由で正当化されるのであれば、それはもはや文明国ではありません。

7 じゃあ、どうしたらいい?
陽性の方やそのご家族、勤務先、そして医療関係者。
つまり最も不安を感じ苦しんでいる人達を、あなたができる範囲でいいので、応援し、励ますことだと思います。
人間は攻撃されればストレスが蓄積し、体調不良や暴走を起こしやすくなります。
この方達が安心して治療や隔離に集中できることが、感染拡大防止のため極めて重要です。

最初は感情的にも納得できる範囲で構いませんので、自分にできる応援や激励をお願いできればと思います。
それを通して、あなたご自身が感染予防拡大防止に貢献できる強い力をお持ちであることを忘れないでいただけたら、とても嬉しいです。

【新型コロナウィルス対策に便乗した詐欺について】R2.4.24

消費者庁や国民生活センター、各自治体などに通報のあった詐欺事例です(4/24現在)。
同様の手口で、少なくとも数百件以上は行われていますので、ぜひご一読ください。

第1 メール等を悪用した詐欺事案
1 メールやSMSで、「新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、マスクの無料送付確認をお願いします。」などとメッセージを送り、記載したURL(インターネットサイトのアドレス)のリンクをクリックさせようとする。
2 市役所を名乗る者から「新型ウイルス緊急救済措置としてお年寄りの居る世帯に現金入金します」というメールが届いた。記載されたURLにアクセスして金融機関口座番号を入力するよう書かれていた。
3 政府の関係機関のようなところから「インターネットサービスを一定額以上利用した人に、5千万円を上限として給付する。全国から300名が選出された」というメールが届き、名前も載っていた。銀行口座を登録したところ、給付を代行するサイトの費用と手続き料として合計1万数千円が必要というメールが届いた。

第2 電話を使用した詐欺事例
1 厚生労働省等を装って電話があり、「費用を肩代わりするので検査を受けるように」などと言い、氏名・住所などの個人情報を聞き出そうとする。

2 業者から「新型コロナウイルスの感染を防ぐために、行政からの委託で消毒に回っている」、「新型コロナウイルス感染防止の資料を持参する」などという電話がかかってくる。

3 保健所の職員を名乗る者から「マスクが1世帯に2枚配られますが、ご家族は何名ですか」と電話があった。

4 自宅の固定電話に中央省庁を名乗る電話があり、新型コロナウイルスの説明をされ、マスク2枚と新型コロナウイルスの検査キットを送ると言われた。「○○さんですね」と苗字を確かめられ、家族構成や通院先、持病や服用薬を聞かれた。

5 知らない相手から、「マイナンバーを持っている人はインターネットからの手続きが可能で早期に特別定額給付金10万円が給付されるが、マイナンバーを持っていない人は複雑な手続きが必要になる。家族にマイナンバーカードを持っている人はいるか」と電話があり、「いない」と伝えると、「国から代理申請業務を委託されている団体だ。手数料はかかるが、氏名、住所、電話番号、振込銀行口座を教えてくれれば一日も早く困った人に給付することができる」と言われた。

6 携帯電話に若い男性から電話があり、「新型コロナウイルスの件で国から一律に10万円を給付することになったが、より早く手元に届けるために申請代行をする。マイナンバーカードなら1週間以内に確実に振り込まれるため5月中旬までに10万円が入金される。通常マイナンバーカードを作るのには1カ月かかり、そうなると10万円をもらえなくなるかもしれない。マイナンバーカードの取得率が低いので、その手伝いをする。うちもボランティアではないので申請手続きに2、3万円の手数料はかかるが家に居ながらにして10万円がもらえる」と言われた

第3 訪問による詐欺事例
突然自宅を訪問してきた業者から、「新型コロナウイルス流行拡大の影響で金の相場が上がることは間違いない。すぐに金を買う権利を申し込んだほうがいい」と勧誘された。

第4 郵便による詐欺事例
1 大手薬品会社の社名が入った封書が届き、社債発行の案内、会社概要、新型コロナウイルス治療薬開発についての書類が入っていた。後日その会社の社員を名乗る者から電話があり、「政府の要請で新型コロナウイルスの治療薬を開発している。ぜひ社債を購入して欲しい」と言われた。

2 大手製薬会社名で証券コード等が記載された書類が届いたが、関係ないと思い放置していた。ところが後日、自宅にその会社を名乗って「ご契約ありがとうございます」と電話があり、対応したところ、「2,000万円分の社債を購入したことになっている。払わないのであれば訴える」と言われた。

【台風関連の情報提供その2・保険金や罹災証明について】

北海道・東北では依然として水害や土砂災害が続き、復旧作業が続けられています。
なんとか泥水や土砂を取り除いた後は、壊れた自宅や自動車・家財道具をどうするか、という段階に入ります。
この段階では、どうしても先立つもの(資金)が必要になります。
そこで、まずやっていただきたいことは以下のとおりです。

1 火災保険・建物保険・自動車保険などの損害保険・各種共済の内容の確認
風水害による被害を受けた場合、建物なら火災保険・建物保険、自動車なら自動車保険(特に車両保険)への申請が基本になります。
自動車保険や損害保険、共済の場合、細かい内容まで覚えていないことが多く、「実は申請すれば保険金や見舞金が出たのに・・・」、というケースをよく見かけます。
保険の証書がない場合でも、保険会社か代理店に連絡すれば再発行は可能ですので、ご安心ください。
2 拡大損害の防止
すでに倒れてしまった立木や壊れた家屋は、できるだけ早く撤去したり、応急措置をしてください。大きな廃棄物(倒木など)の引取については自治体にご相談ください。
3 罹災証明は自治体の窓口へ
災害で自宅が壊れた場合、以下のような手続が取れる場合があります。
①自治体から物資や見舞金の支給を受ける(室蘭市ではゴミ袋の無料配布、登別市では災害見舞金の支給など)
②所得税の減免を受ける(詳しくは国税庁のHP参照)
保険金の申請や、上記のような手続を採る場合、自治体が発行する罹災証明書が必要になります。
自宅の内部・外部の写真を撮影のうえ、自治体に罹災証明書を申請して下さい。
なお、以前に熊本地震の記事にも載せましたが、罹災証明の一次審査で「全壊」以外の判定が出た場合には、基本的に二次審査を申請し、内部見えにくいところの損傷も含めて判定をしてもらってください。

【台風関連の情報提供・強風による器物破損】

今回の台風で被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
当事務所は幸い停電から復旧し、今朝より通常業務を行っております。
台風の雨や土砂による被害も深刻ですが、胆振地方では強風による被害も多発しております。

その中でも深刻なのが、
「自宅の屋根や壁、立木の枝が風で吹き飛ばされ、お隣の家や車、物を壊してしまった」
というケースです。今朝からこのような相談が複数寄せられており、今回の被害の深刻さが分かります。

建物のような工作物や立木の占有者(普通は所有者。ただし人に賃貸している場合は賃借人)は、修理費などの賠償責任を負う可能性があります。(民法第717条第1項・同第2項)
賠償責任を負うのは、工作物や立木が通常有すべき安全性を以前から有していなかった場合です(法律用語で「瑕疵(かし)」といいます)。
工作物なら設置(建設)や保存(維持管理)、立木なら植栽や支持(普段の手入れ)に問題がなかったか、が重要になります。
老朽化して腐食した建物や立木を放置していたケースでは、それが倒れて他人に損害を与えた場合、賠償責任を負う可能性が高いと思われます。
ただし、このような賠償問題は当事者間の話し合い(示談)で決着させることもできます。この場合、賠償する金額をどうするかは、当事者が自由に決めることができます。この場合、後日もめ事が再燃しないようきちんとした示談書を作っておくことがお勧めです。

話し合いが難航している場合、示談書などの書面作成をご希望の場合などは、当事務所までご相談下さい。
(被害者側からの相談は無料で対応しています)
0143-83-4131

1 送りつけ商法

Aさん)

いや実はね、こないだ突然うちに電話がかかってきてさ、「毛ガニの通信販売をしている会社です」「お試しでカニを送りますので、ぜひ食べてみてください。」って言うんだよ。食べてみて美味しかったら、来年のお正月などに買って欲しいんだってさ。だから送ってもらうことにしたんだよ。まずかったら、断ればいいしね。

弁護士さん,これ大丈夫だよね?

 

・・・大丈夫ではありません。

 

これは、送りつけ商法と呼ばれる悪質商法の一つです。

 

最近、「お試し」などと言って商品を送りつけ、それを食べるなどして消費してしまった人に対し、

「食べたんだから、売買契約は成立している。代金を払ってもらわなければ困る。」

「生ものだから、返品はできない。」

などと言って高額な代金を要求する悪質な業者がいます。

 

「受け取ってしまったから」

「食べてしまったから」

という消費者の後ろめたさに乗じて、高額な代金を支払わせる手口です。 


しかし、「○○という商品をいくらで買う」という合意(売買契約)がなければ、代金を支払う必要はありません。


Aさんに電話した業者は、事前に代金額どころか、代金が発生することすら知らせていません。

そうなると、Aさんがこの毛ガニを受け取ろうが、食べてしまおうが、代金を支払う必要はないことになります。

トラブルを避けるため、このような勧誘は最初から断るのが無難だと思います。

すでに受け取ってしまったり、食べてしまった場合でも、代金の支払拒否や商品の返品・廃棄などが可能です。

お金を支払ってしまう前に、必ず弁護士さんか、役場の消費者センターにご相談ください。

お問い合わせはこちら